2013/06/19
【コンフェデ杯2013】チャレンジするという選択
ブラジルとの初戦は0-3の惨敗に終わった。日本メディアの報道や各選手のコメントからはチャレンジできなかった事に対して悔いが残るという論調が多い。チャレンジできなかった、とはつまり日本がこれまで積み上げてきた攻撃的なスタイルが出せなかったということだ。攻守の切り替えを早くし、高い位置でボールを奪えたら縦に鋭いショートカウンターを狙い、それが出来なくてもポゼッション率を高め主導権を握る攻撃的なサッカー。これこそがザッケローニ監督が就任以降、積み上げてきたスタイルである。
確かに、チャレンジできなかった事は残念である。昨年10月のブラジル戦でもこれまでの同カードではお目にかかった事がないくらいボールを支配していたし、ファイナルサードでの崩しまでは見られなかったものの、可能性を感じさせてくれた。世界のトップレベルともスタイルを変える事なく、伍して戦えるのではないかと。そして8ヶ月後の今回の再戦ではさらに善戦できる期待もあった。それだけに、消極的なミスが多く、攻守に腰の引けた日本代表のプレイには落胆した。香川真司が「勝ちに行くと言っておきながらその姿勢を示せないまま終わった」と語り、ザックが「本来の日本ではなかった」と失望したように消化不良が否めなかった。
だが、そもそもチャレンジをするべきだったのだろうか?理想を追い求めるばかりでよいのだろうか。中東遠征から中4日で王国ブラジルとの完全アウェイ戦。果たしてこれまで通りのチャレンジを試みるようなシチュエーションといえるのだろうか。実際に、10月の対戦でカウンター気味に失点した反省からかある程度ブロックを作りつつ、岡崎に裏を取らせるゲームプランだったように思う。しかし、試合前の監督、選手のコメントからわかる通り、勝ちに行くという気概を示していた分、かえって攻守に中途半端になってしまった感は否めない。‘プレW杯’でチャレンジすることが糧になるという考えには同意だ。だが、だからこそホスト国との大会初戦ではより現実的な戦い方を選択する必要があったのではないか。状況を踏まえ、我慢のサッカーをして少ないチャンスをモノにするような試合運びをしてもよかったと思う。コンディションが戻ってくるであろう二戦目以降にチャレンジをしていくという選択肢もあったはずだ。選手起用についても細貝をスタートからアンカーに置いてみる、本調子にない長友を温存し酒井高徳を起用する、などグループリーグの突破に目標を置き、逆算した上での緒戦と捉えてもよかったのだ。ましてや格上しかいない大会である。いつも以上のサッカーをしなければ結果が望めない状況で、いつものサッカーすらままならないコンディションならば、それなりに割り切った考えがあってもおかしな事ではない。
開始早々の失点でゲームプランが狂ってしまったのは確かだ。そこから反撃をするにしても焦らずにボールをキープしながら0-1の時間を長くしてほしかった。が、ボールキープすらさせてもらえなかった。その要因の一つにはチャレンジしようとし過ぎた結果、結局どちらも出来なくなってしまったという点があったようにも思える。ブラジルメディアが自覚していたように絶対的に見えたこの日のブラジルも時間帯によってはチーム全体が弛緩していた。そこをすかさず突くようなエネルギーがない、あるいはそもそも流れを読めていない。この点も日本が学ばなければならない重要な要素の一つだ。大会全体から鑑みた試合の位置づけ、試合を90分間の流れで捉えた上での局面局面におけるタスク、これらを正しく認識し、そして全員の共通理解の元で実行する力。これこそが世界と戦う上で日本がまだまだ磨かねばならない要素といえよう。
いずれにせよ後がない状況だ。イタリア戦はいい意味で開き直って、今度こそ目一杯チャレンジしてほしい。オリベイラ監督の言葉を借りるならば、今何よりも見たいのは清々しく勇気を持って戦う姿勢“ヤマトダマシイ”だ。
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