人間の年齢に換算したら大学生。
ワールドカップ常連国の中には100歳を越えて何もかも知り尽くした仙人のような国もある。
選手達だけでなく指導者やサポーター、メディアが一体となってその国の文化を醸成する。
それに比べたらまだまだ青い。またしても痛感することとなった。
前半も後半も自分達のプレイができなかった。その要因はいくつかある。
コンディション不良による運動量低下、緒戦という緊張感そして慎重にいきたくなる気持ち、早い時間に“奪えてしまった”先制点。
これらが日本から本来のスタイルを忘れさせてしまった。簡単なパスミスによるボールロストが多く、アグレッシブで組織的なプレスや縦パスからのショートパス交換によるコレクティブな攻撃も「表現できなかった。」(長谷部主将)。
日本のサッカーを示せなかったのは残念だが、サッカーはそんなに甘くない。いい時も悪い時もある。それはどんなに強いチームでも同じだ。
ただ、本当に強いチーム、サッカーを知っているチームであったなら悪い時でも悪い時なりのサッカーをして勝ち点を拾うことができる。
列強国の場合はゲームコントロールや状況判断力、経験値が高いので特に選手を変更しなくても戦況に応じた最適なプレイを選択してくる。
大学生の日本にはまだまだそこまでの力がなかった。一つのスタイルしか持っておらず、それが出来ないと勝ち切れないのだ。
例えば、中盤でのパスミスが多いなら一旦後ろでゆっくりつないでリズムを取り戻してみたり、サイドの深い位置にロングボールを入れて裏を狙ってラインを押し上げてみたり。
あるいは、今日はみんな体が重いなと思ったなら、追加点を無理には取りに行かずに守備的な選手やボールキープができる選手を入れて試合をクローズするということも考えられる。いっそのことブロックを敷いてロングカウンターに切り替える方法もある。
結果論になってしまうが、苦手な形だとわかっているクロスボールへの対応についても、高さのない日本としてはボールの出所を90分間徹底的に押さえてもらいたかった。
しかし、今回は試行錯誤を重ねた結果、ザックはスタイルを貫くことにした。応用はきかないが、基本はできているし得意な形もある。そこに全精力を注ぐ。そういった判断だ。私はこの判断自体は賛成だ。
これから先、大学を卒業し社会人になって、課長にでも昇進して文化が更に構築されていった暁には、時間帯やスコア、気候に応じて最適なゲームコントロールが出来るようになってくるのだろう。
現チームにもワールドカップや欧州で研鑽を積んでいる経験豊富な選手が多い為、本当はそのあたりにも期待したかったのだが結果は残念なものとなった。
とはいえ、これでハッキリした。シンプルに自分達のスタイルを貫くしか道はないのだ。緒戦では勇気を見せられなかったが、あとがない状況である。恐がっていてもしょうがない。
ギリシャ戦ではぜひとも日本のサッカーをブラジルのみなさんに、そして世界のみなさんに見ていただきたい。失うものは何もない。
大学生なら大学生らしく潔くて清々しい攻撃サッカーを貫いてもらおうではないか。
GT7